人気ブログランキング | 話題のタグを見る

追悼 + 短歌 + 詩

追悼 + 短歌 + 詩_f0100480_22454036.jpg

23:36


赤 、 白 、 と 躑 躅 を お と す 五 月 雨 は や ま ひ の ゆ く へ 占 ひ け る か


あか、しろ、とつつじをおとすさみだれはやまいのゆくえうらないけるか



 午前中、


 十五年ぶり(たぶん)に友達から電話があって「夜に会わないか?」と言う。何ごとかと思えば、共通の友達で5年前に亡くなったカメラマンの甥と会うので、昔話で追悼をしようと言うのであった。


 その電話してきた友達にカメラマンを紹介したのは私だし、甥を除けば私が一番古い付き合いで、ゆえに一番古い話ができるというわけである。そのカメラマンもアルコールが遠因で亡くなったのだった。積もる話はあったが、なんだか私のアルコール依存症の話にプチ花咲き、笑。出版された本を何冊か改めて見たが、人へのまなざしが本当にやさしい写真集ばかりだ。在日韓国朝鮮人、阪神淡路大震災、旧国鉄職員、ナミビア、韓国、居酒屋…彼はなにを見続けていたのだろう。


 と、まあ、そんなこんなで帰宅が遅くって晩ご飯もまだである。明日は試写会の仕事で昼に家を出ればいい。更新はこれぐらいにして他の用事を片付けなきゃ。


 下記はそのカメラマンが亡くなったと知ったときに作った詩。もう4年ほど前になるか。再掲である。




欠損


空といふ空からお前が堕ちてくる

海といふ海にお前がひるがへる

そのときぼくは椅子をひとつ用意しよう

もちろんお前と話しあふための椅子だ

その椅子は木でできてゐて ところどころ朽ちてゐる

もちろん言葉に詰まつたときのための欠損だ

未来から苔がむすやうに そちらへ向かひ

出逢つたときのことを話さう

左手だつたか右手だつたか

お前は器用に石榴を割いて

遠い血肉のことを話しはじめる

もうどうでもいいんだそんなこと

それはお前が在つたときの話だ

お前の不在を

血も肉も埋めることはできない

空といふ空からお前が堕ちてきて

海といふ海にお前がひるがへり

そのときぼくは椅子をひとつ用意して

そしてそこに座り

明日からの暦をつくりながら

ひとつ、どれ、泣けたら涙してみることにしよう







 見えるもの写ってしまうやさしさよ、そんなこんな追悼の夜だった。





只今のながらCD

MY FAVORITE THINGS / JOHN COLTRANE
by alglider | 2010-05-11 22:46 | 短歌

さびしさを糸でかがればかぎ裂きのかたちしてをり棘のあるらし


by alglider
カレンダー
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31