追悼 + 短歌 + 詩
2010年 05月 11日
23:36
赤 、 白 、 と 躑 躅 を お と す 五 月 雨 は や ま ひ の ゆ く へ 占 ひ け る か
あか、しろ、とつつじをおとすさみだれはやまいのゆくえうらないけるか
午前中、
十五年ぶり(たぶん)に友達から電話があって「夜に会わないか?」と言う。何ごとかと思えば、共通の友達で5年前に亡くなったカメラマンの甥と会うので、昔話で追悼をしようと言うのであった。
その電話してきた友達にカメラマンを紹介したのは私だし、甥を除けば私が一番古い付き合いで、ゆえに一番古い話ができるというわけである。そのカメラマンもアルコールが遠因で亡くなったのだった。積もる話はあったが、なんだか私のアルコール依存症の話にプチ花咲き、笑。出版された本を何冊か改めて見たが、人へのまなざしが本当にやさしい写真集ばかりだ。在日韓国朝鮮人、阪神淡路大震災、旧国鉄職員、ナミビア、韓国、居酒屋…彼はなにを見続けていたのだろう。
と、まあ、そんなこんなで帰宅が遅くって晩ご飯もまだである。明日は試写会の仕事で昼に家を出ればいい。更新はこれぐらいにして他の用事を片付けなきゃ。
下記はそのカメラマンが亡くなったと知ったときに作った詩。もう4年ほど前になるか。再掲である。
欠損
空といふ空からお前が堕ちてくる
海といふ海にお前がひるがへる
そのときぼくは椅子をひとつ用意しよう
もちろんお前と話しあふための椅子だ
その椅子は木でできてゐて ところどころ朽ちてゐる
もちろん言葉に詰まつたときのための欠損だ
未来から苔がむすやうに そちらへ向かひ
出逢つたときのことを話さう
左手だつたか右手だつたか
お前は器用に石榴を割いて
遠い血肉のことを話しはじめる
もうどうでもいいんだそんなこと
それはお前が在つたときの話だ
お前の不在を
血も肉も埋めることはできない
空といふ空からお前が堕ちてきて
海といふ海にお前がひるがへり
そのときぼくは椅子をひとつ用意して
そしてそこに座り
明日からの暦をつくりながら
ひとつ、どれ、泣けたら涙してみることにしよう
見えるもの写ってしまうやさしさよ、そんなこんな追悼の夜だった。
只今のながらCD
MY FAVORITE THINGS / JOHN COLTRANE
by alglider
| 2010-05-11 22:46
| 短歌