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あるのすさび

さびしさを糸でかがればかぎ裂きのかたちしてをり棘のあるらし


by alglider
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回復の過程は逃走である + 短歌二首

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21:22


山 茶 花 も か た へ の 風 も お く り 名 を も た ず に ゆ け り 春 の は じ め に

さざんかもかたえのかぜもおくりなをもたずにゆけりはるのはじめに



き み は も う 花 見 る こ と も な か り け り 胸 さ わ ぎ さ へ か な は ぬ 空 よ

きみはもうはなみることもなかりけりむなさわぎさえかなわぬそらよ



 今日は


 買い物へ出たり、家で音楽を聴いたり、散歩へ出ると雨が降りだし引き返してきたり、落ち着かない一日だった。


 あまり心の中を覗くものではないね。底なし沼のようで、得体のしれないものがうごめいている。飼い馴らしはできぬから、見ぬふりを決め込んで「そういうものがいる」ということにして心を落ち着かせる。覗きこむのも心なら、落ち着かせるのも心だからややこしい。


 両手をあげて降伏をする。自分で責任をもって扱えない誘惑には手をださない。テレビを見ていると、奥さんと別れ話になった刑事が一人バーでウイスキーを飲むシーンがあった。酒がよく似合っているし、憂さが晴れてゆく気持ちも分かる。私もそういう状況になれば酒を選んでしまうだろうな、と見ていた。だから、すたこらと人から何と言われようとそういう状況を作らない努力をするし、逃げるし、自ら自分を折る。極限にまで追い込まれたら、酒に代る自分の慰めかたを知らないな、とテレビを見ていて思ったのだった。


 だから退屈でも波風の立たない、正しくつまらなく平凡な幸福(卑屈と言われようが)を選ぶ。アルコール依存症の場合、波風は必ず酒を引き寄せる。飲む理由に転化させ、合理化する。すたこら逃走できるかどうかは回復の試金石なのだ。逃走せずに立ち向かう蛮勇(無謀)は再飲酒のための言い訳(理由)にしか過ぎない。先に逝ってしまった連中がそうだった。ささやかなできることを成し、できることを増やしてゆく。私は家路の途中である。



 そんなこんな。



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Commented by ツトム at 2011-03-06 23:34 x
「胸 さ わ ぎ さ へ か な は ぬ 空 よ」



深い詠嘆に立ち止まり、感じ入っております。すばらしい歌を拝読させていただきありがとうございます。
Commented by 稲泉 at 2011-03-06 23:46 x
飼い馴らせない蠢き。
ありますね。
蠢きって春に虫が二匹。
春に蠢くのは必須なのでせうか?
Commented by パンタタ at 2011-03-07 23:06 x
ツトムさんへ

どうもありがとうございます。
何て返事していいか分からないや。

Commented by パンタタ at 2011-03-07 23:07 x
稲泉さんへ

そう言えば、昨日は「啓蟄」でしたね。

by alglider | 2011-03-06 19:54 | 短歌 | Comments(4)