その蕎麦屋の暖簾の隅にはゲバラが染め抜かれて…

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 昔、と言っても、多分、私がアルコール依存症と診断された前後と思うから7年ほど前かしらん....。関西では大きな郊外都市の枚方をぶらり散策的な、私のお気に入り的な雑誌の取材をやったことがある。私が案内役で枚方の手造り地味噌屋さんとか100円シュークリーム屋さんとか取材して回った....。

 私の好きな場所、枚方がちょいと見おろせる丘へ向かって(途中で枚方AAが開かれている教会を抜ける、が、当時はもちろん知らなんだ)カメラマンと歩いていたところ、開店して間もない、てな外装の蕎麦屋を見付けた。こういうとき、蕎麦好きは目敏いというか、鼻が利くというか、よだれが出るというか.....蕎麦をたくるのも速いが、店に飛び込むのも速い。ついで言えばカメラマンも蕎麦好きであったから即決[食べよう]と扉を引いた。

 まずは、ざる一枚を頼み、ずずっ、とやって、おろしを一枚追加。また、ずずずっずぅとやって、蕎麦湯を飲む。カメラマンと目を合わし、取材を申し込むことにした。最近テレビなどがやるアポなし、飛び込み取材というやつである。女将さんに、その意申し入れると、困った顔をして[聞いてきます]と厨房へと踵を返された。

 しばらくすると、丸狩りの眼鏡の奥に優しい目を細めた笑顔のご主人が表れて[普通、こういった取材は受けていないのですが、お二人の蕎麦を食べる音が気持ちよいほどでしたので、どうぞ取材をしてください]ということになった。昼下がりで、お客さんもまばら、店を開いたばかりなので、ご主人は聞き耳を立てておられたのかも知れない。まず食してから、取材を申し込む、当然のことだが、あまり守られてはいない。店自体も新しいが、取材は我々が初めてということだった。

 店内は従来の蕎麦屋の雰囲気ではなく、アフリカから取り寄せたという、15席はあったかな、大きな一枚板のテーブルのみ。床というか、足元は土で、土俵をつくる要領で固めたという。窓は採光のため大きく開かれ、塗られたままのコンクリートも見てとれる。しかし、あの鼻持ちならないモダン、小ジャレたお尻がむず痒くなる店でなく、新しくそこに落ち着く、という感じで、取材を離れて気に入ってしまった。蕎麦のほうは、ここまで書いたのだから、何をかいわんや、である。

 礼を言って、辞すると、その暖簾の隅に小さくチェ・ゲバラが染め抜かれていた。もちろん、店の名との関連は想像しがたく、関係ないと思われる。ご主人はコピーライターなどの経験を持つ転職組で、私の原稿も気に入ってくださった。

 依存症になってからも、お酒と共にの昼蕎麦を楽しんでいたが、お酒を止めてこのかた足は遠のいている。前にも、書いたが[お元気ですか、たまには顔を見せてください]との賀状が届く。久々にお酒抜きでいくつもりだが、ゲバラのことは想像する楽しみとして残しておくことにして、理由は尋かぬつもりだ。

余談
私が取材したころの枚方には信号のない五叉路、というとんでもないものがあって、誌面で苦言を呈したら、しばらくして信号が設置された。誌面の効果かどうかは分からない。多分、市民からの苦情もあっただろうし、設置時期と重なっただけだと思うが。しかし、当時、何となく誇らし気であったのを思い出す。

今日のながらCD
SPRIT/SPIRIT

今日の一文
俺は急所を見ることが好きだ
心の深い部分で
それが急所であることを感じるのが好きだ
ところでどこが心の深い部分であるのか
それは知らぬ
俺の知っているのは
あつぼったい魂をギュギュつめ込んで走る
あの鈍重な市街電車にも急所があるということだ
                          急所がある(抜粋) 天野 忠

       天武人さん交野断酒会にまたおいでーよー。まってるよー
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Commented by プータロー at 2006-05-07 22:06 x
そこのそば粉、キューバー産かな?
Commented by パンタ at 2006-05-07 23:14 x
祖谷産・カストロ印です。赤い星三つが最高級です。
Commented by キラー at 2006-05-08 18:38 x
こんにちは コメントしていただきありがとうございます。
ツッェペリンの来日公演をみられているとは羨ましいです。
これからもブログ頑張って書いていきますので、ご訪問お待ち
しております。
by alglider | 2006-05-07 03:55 | 回復過程 | Comments(3)

さびしさを糸でかがればかぎ裂きのかたちしてをり棘のあるらし


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