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あるのすさび

さびしさを糸でかがればかぎ裂きのかたちしてをり棘のあるらし


by alglider
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衛生博覧会

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 私は古代文字ファンで、台湾へ仕事で行ったとき、時間を盗んで故宮博物館へ甲骨文字を見に行った。想像していたよりも、その文字は小さく4or5ミリ四方ぐらいか。それだけで、十分に現代と同じ文字の機能を果たしていたことが分かる。上の写真は、甲骨文字より遥かにさかのぼること3千年、中国安徽省で発見された古代文字。もちろん解読されていないが、なんだかアフリカや南アメリカにも通じる形象で私の興味は深まるばかり、ソワソワ..(^ ^;)

 閑話休題。5月10日の酒害相談講習では、何故か断煙の話が30分ほどあった。講師は和気浩三先生で隆三先生の息子さん、新生会病院の副医院長さんである。先生自身、断煙3年目(と言われていたと思う)だそうだ。同じ依存なのだから、まあよいというものだが、アルコール依存の回復に断煙が有効であるとかないとか、が医学的に曖昧で、いくら体への害、発癌率、国家医療費のン%を占めると言われても、そらそうですわなとピンとこなかった。

 私も経済的な理由が一番で煙草が止められたらなぁ、と(まだ)漠然と思っている依存者の一人であるが、なんか釈然としないものを感じた。分煙、断煙への趨勢は止められまい。それは、それでよいのである。私が感じているのは、釈然としないのは、そこに衛生的な脅迫を感じるのである。

 これは、断酒会に参加してからも同じものを感じていた。酒を飲まないこと、このことが、自分一人の営為から離れ、酒を止めさせる、酒のない社会観まで広がっていく。酒害を社会に啓蒙するのは酒害者として、やっていい(責任とは私は言わない)。煙草の害を喧伝するのもいい。しかし、ときどき私をやるせない気持ちにさせるのは、その行き着くさきが、すごく衛生的な世の中だからだ。煙草を止めた人が「この前、レストランで煙草を吸う人がいてね....服に臭いが付いて家に帰ってから云々」と、困った顔をし、極悪人を見てきたように言うのを聞いて、それは、ちゃうやろと思った。酒を止め続ける毎日を送っていて思うのは、断酒会という止めている人々と共にいる時間を過ごすというのもそうだが、何よりも自分への問いかけや個の闇の部分をくぐり抜けていく作業が必要なのだ、ということだ。必要なのは、ネズミやゴキブリのいない衛生的な世界から語られる言葉ではなくて、自分という非衛生的な不条理の闇をくぐり抜けてきた言葉だ。

 ちょっと前、ウンコが無臭になる錠剤が売り出されたけれど売れているのかな。口臭スプレー、制汗剤などなど、なんの臭いもしない、じゃなくて薬の芳香の世の中が来るのだろうか。汗の臭いのしないSEX、臭いのしないアル中が吐いたゲロ......やだやだやだやだ矢田亜希子......

 先の酒害相談講習で煙草の害を宣伝するビデオも流された。煙草で喉頭癌になり摘出手術を受けた女性が煙草を止められず、喉元に穴を開け、そこから煙りを吸い吐きだす、というものだ。私だけかも知れないが、私にはその女性が恍惚とした表情で幸せそうに見えた。グロテスクなものを見せて、キャンペーンにする手法は、大正時代にあった衛生博覧会を思わせる。陰を取り除いて光りの側からのみ語られる言葉は、優性的思考のファシズムの言葉だと思う。

http://www.t3.rim.or.jp/~s-muraka/dokusho/kuni0.html衛生博覧会をいろいろ調べていたら、こんなん見付けました。さてさて......

今日のながらCD
STRANGE DAYS/THE doors

今日の一文
或る非常に危険な状態におかれたるそれだけの魅力でけふも生きてゐる
                                   加藤克巳

       天武人さん交野断酒会にまたおいでーよー。まってるよー
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by alglider | 2006-05-13 00:33 | アルコールと自由 | Comments(0)