涙が出ないのはなぜ…

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 夜の11時45分から朝7時半まで。バイトの拘束時間が7時間45分、睡眠が5時間ほどだから、で、残りは11時間15分となる。かなり優雅である、はずが、短い。とても短く感じる。自由時間で過ごす昼夜逆転はそれほど苦にはならぬのに、少しバイトするだけで、心が急くというか、だれかに時間を盗まれたかのようだ。ブログ更新もままならぬ感じである。ほんに時間は心の流れであることよのう、お咲き.....

 断酒会の体験談で、親の葬儀のときの話がときどきでる。[出席させてもらえなかった][喪主にもかかわらず、弟にすべて仕切ってもらう状態だった][その間、堂々とずっとお酒を飲んでいた][人前でお酒を飲んでも、咎められないことを喜んでいた][涙もでなかった]などなど.......

 そんなとき私も母親が亡くなったときのことを思い出す。クリスマス・イヴの早朝、癌であった母は淀川キリスト教病院のホスピスで息をひきとった。お酒は昼夜問わない日常的 なものだったが、母親の[よりよく死んでいくための]入院あたりからおかしくなった。個室だから、冷蔵庫にビールを冷やし、ベッドを眺めながら朝まで飲む看病(といっても、モルヒネで寝ているだけなのだが)だった。

 早朝の死は慌ただしく、葬儀屋がノートパソコンでちゃっちゃっと段取りを決めていく。[家紋は?][はい、左巴の縁なしです][祭壇は?][はい、中の上で][ご遺影は?][あぁ、笑顔じゃなくて、これを切り抜いてモノクロで][花は?]。当日、父は腑抜けになってしまい、依存症だが10年ほどお酒を止めていた兄が、放っておくと葬儀屋に仕切られそうになるのを、こちらら側に引き止めた。私は、近くの自販機にいったり、控え室備え付けの冷蔵庫からビールをだしたり、ドライアイスに埋もれた母に平行して横になったりしていた。

 アル中は、世間で飲んではいけない、ときになると飲みたくなる。しらふで目の前のことに対応できない。飲んではダメというマイナス地点から飲むと、酔い達するまでの落差が大きいから、アルコールの報酬効果が相乗効果でウルトラ倍増してしまう。そして、アル中がお酒を止めてから、生きづらいのは、なにも心の問題だけでなく、しらふで向き合う現実をこなしていくスキルの問題だったりもする。だから、ダブルバインドである。

 母の葬儀のときも父の葬儀のときも、私は涙はでなかった。涙で悲しみや、故人への思いが計れるものではないが、先の体験談のように[涙もでなかった....]という言葉がでてきたりする。涙なんてどうでもいいじゃないか、と言えるかも知れないが、[涙が止まらなくてね]とか[不思議と涙がでなくて]という感情の流れを、素直に見詰めてみたい。[あぁ、私はこのように涙している]とか[涙が出ないのはなぜ]というふうに。で、[涙を流さなければ.....]という脅迫もまた酔いの感情のような気がする。そこからは私は離れていたいと思う。捻くれ者のせいもあるが、自然な感情って難しいっていうか、気がつけば終わっている。余韻しか残さない。感情の渦中にいるときは、例えば[涙]なら、人は[涙そのもの]になってしまっているのだろう。

今日のながらCD
GETTING READY..../FREDDIE KING

今日の一文
人も羨むよな仲が いつも自慢のふたりだった
あなたとなら どこまでも ゆけるつもりでいたのに
突然の嵐みたいに 音を立ててくずれてく
涙が出ないのはなぜ 教えて欲しいだけさ
                           わたしはピアノ/桑田佳祐
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Commented by 慎@リンクのECHOES at 2006-05-25 23:35 x
私の頭の中を巡ったのは、ドリカムLOVE3乗「ねえ、どーしてー」でした。
Commented by at 2006-05-26 08:21 x
この度、ブログ内で犬を飼うことにしました。
いじめないでねー。
by alglider | 2006-05-25 08:52 | 回復過程 | Comments(2)

さびしさを糸でかがればかぎ裂きのかたちしてをり棘のあるらし


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