アルコール依存と短歌    一首


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17:43


焼 き つ け る 何 も の も な く 思 い 出 を め く っ て い く の は 浚 い の 風 か



やきつけるなにものもなくおもいでをめくっていくのはさらいのかぜか



日曜ごとに


 腰が痛む。要するに寝過ぎなのが原因であると分かった。薄々そうとは思っていたのだが、どこかで“寝過ぎの快楽”が原因であることを否定したい自分がいて「かなわんなあ」とか言いつつコルセットを巻いたりしていた。しかし、持病のぎっくり腰の本格的な再発につながるとマズいので、休日とはいえど平日よりリトル長めに寝るぐらいにして、足りない分は夕方に少し寝る、というふうに2回に分けた方がよさそうだ。


 思い出を整理して短歌にしていくことが、私の一つのエンディングノートだと思い始めている。今、もっぱら歌のテーマは「思い出」で深い深い場所まで下りてゆく方法を言葉で探している。


 先日の同窓会などは無条件で「懐かしい」という、まあ時間の一つの効用を確認した。それも私の過去の掘り下げ方の一つの手助けになるとは思う。しかし、アルコール依存症者の場合(あくまで私個人の場合だけれども)、あまり懐かしさに浮かれた、また楽しい思い出ばかりを選び取るのは結構危険なものがあると思うし、多分、お酒を止め続けるためにはよくない。過去と現在の比較(昔の自分に比べて今の俺はなんてみじめなのだ)がどうしても起こり、暗澹となる。暗澹は逃げ場としての陶酔=依存に走る場合が多い。ま、簡単な話、過去は楽しかったという幻想にとりつかれ、昔の自分こそ本物だ、なんて思い始めるのである。その“昔の自分こそ本物だ”というのは飲酒していた時代に導く場合がほとんどだ。


 私は依存症者として、ひどかった時代を「思い出」の一つの基底とし、今は自分は随分とマシ、という方法論をとる。周りから見たら「過去の人の道を外れた悪行に対して楽観的すぎるだろう」と思われるぐらいの方がいいと思う。そして且つ徹底的に過去の自分を、人の道を外れた自分を、追い込む「思い出」の探索をした方がいいと思っている。その上で、どんなにひどかった、個人にとっては消してしまいたい思い出でも「今はまだマシ」だよと、子供を慰めるように自分に語り掛けるのだ。そんな子供じみた感情が依存症を救うことがあることを知ってほしいな、と思うことがあるけど、私は伝道者ではないしなあ。だから短歌にする。


 こんな器用な飴と鞭の暗澹と有頂天の「思い出」の取り扱い方の前途は、はっきり言ってまるで見えていない。でも、私はそれを行く。




 俺もついに口惜しみの灯を燈しけり暗澹ランタンカンテラを提げ      福島泰樹





 近所のスーパーが置きだした「練乳入り白漉し餡イチゴ大福」がめちゃ旨い。



 そんなこんな。



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只今のながらCD

LITTLE VICTORIES / KROBAK
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Commented by ひたしんちゃん at 2015-02-16 18:19 x
断酒7年目ですが、親の介護や子育てという僕に課せられた責務に一応の形がついたら、後は野となれ山となれで、また飲み出しても良いのではないかという不埒な考えが、時折頭をかすめます。パンタタさんの仰る「飲めていた昔は良かった」という思いが確かにあるからだと思います。

パンタタさんにとっての短歌のような、ある意味、解脱への道とも言えるようなものが見つけきれていない僕は、今以て危なっかしい道を歩んでいます。

僕もいい加減何か見つけなければ・・・

Commented by パンタタ☮ at 2015-02-16 23:01 x
ひたしんちゃんさんへ


断酒7年目でしたら、再飲酒したら変な言い方ですがもったいない、という気持ちもあるんじゃないですか。
私も、3年、5年経つうちに“振出しに戻る”はもったいないし、またイチからできるだろうか、という不安を抱えていました。今でもそれは変わりません。
「飲めていた昔はよかった」けれど、今はもっといい、良好です、というのは意地を張っているのでもなく、本当の気持ちです。
ひたしんちゃんさんは、社会的地位のあるお仕事ではありませんか。アル中は人に褒められたり感謝されたりするのが、基本的に好きな種族です、笑。
ボランティアででもキャリアを生かされたらどうでしょう。誰にでもできることではありませんから、それは大事なことかと思います。
「後は野となれ山となれ」は簡単なことですので、最後の最後まで取っておかれたらどうでしょう。
Commented by ひたしんちゃん at 2015-02-18 10:10 x
パンタタさん、ご意見ありがとうございます。同病の方でないと言えない真摯なアドバイスに痛み入ります。

ボランティアは確かに有力な選択肢でしょうね。よく考えてみます。

ちなみに「後は野となれ山となれ」はフランスでは「我がなき後に洪水は来たれ」というそうですね。ウロ覚えですが、革命前の貴族が、平民の貧困を尻目に贅沢三昧の生活を送るのを批判されて吐いた言葉だったと記憶しています(違ってたらごめんなさい)。
再飲酒して来る「洪水」は「我がなき後」ではなく、我を容赦なく巻き込み「なき」ものにするのだから、やはり飲まない今が昔より遥かにいい人生だと言えるようにしたいと思います。
by alglider | 2015-02-15 16:19 | 短歌 | Comments(3)

さびしさを糸でかがればかぎ裂きのかたちしてをり棘のあるらし


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