一人の練習   一首



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21:47


舌 を 垂 れ 涎 を 垂 れ て 犬 の ご と 上 目 遣 い の い ち 日 の あ り



したをたれよだれをたれていぬのごとうわめづかいのいちにちのあり





 娘は


 夕方からどこかへ出かけ、お咲きさんは義母の入院先へ行っていて、日暮れからずっと一人でいる。とっぷり暮れる前に散歩と買い物に出た。近所のスーパーは二週目の土、日(月曜始まりカレンダースタイル)に会員カード類で買うと5%引きにしてくれるので、毎月、手洗い石鹸やシャンプーなど日用消耗品を買うようにしている。ぶらっと出かけ、あれこれ散策して写真を撮っている隙に蚊にかまれた。あわれ蚊ではなく元気な藪蚊でかゆい、かゆい。


 家に帰りつきお風呂に入ってノンアルコール飲料を飲み、しばらくボーッとして、晩飯を作り始めた。こういう誰もいないときには、不幸にも生き延びて、一人暮らしになってしまったときの練習だと思われてくる。家事はひと通りできるから、その料理に向かうときの心のありよう、立ち位置の練習である。時間はすべて自分のためにあり、いなくなった者を思うのもいいし、いっとき忘れるのもいい。そんな練習をする。先に逝った友も思いだし、ここにこうして鍋でお湯を沸かしたり、ぼちぼち皿を洗っている自分を報告するようにする。老いさらばえば、足し算より引き算の生を行くことになるだろうが、ぼちぼち短歌や詩はゆっくりと増えていくだろう。そのバランスの悪さを保てるような質のある言葉を持てたらいいのだがなあ。


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 義母の病院までは最寄駅からいろいろな行き方があるのだが、お咲きさんがこの道が近いし気持ちがいいと言った道。多くの灌木に囲まれ、少し傾いた焼き板塀など懐かしい風景である。こういう道を歩いて見舞いに行けるなんて、きっといいことがあるような気がする、と甘い感傷を持ったりする。





 あ、一人帰って来た。そんなこんな。






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只今のながらCD

翼 / 石川セリ
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Commented by at 2015-09-13 07:09 x
舌 を 垂 れ 涎 を 垂 れ て 犬 の ご と 上 目 遣 い の い ち 日 の あ り

わたしの相棒であったビーグルは、普段の顔からやや上目遣い。可愛い。ずるい^^
歌の犬は、寄る辺なく孤独で人を拒んでいるのでせうか。
Commented by alglider at 2015-09-13 11:58

文さんへ

そういやー、ビーグルって上目遣いですね。
ずるいですか、笑。
この歌はまあ、疲れて人に媚びているような、
そんな嫌悪と諦めの歌です、はあ。

パンタタ☮

Commented by さと at 2015-09-17 19:01 x
道を歩くのにも色んな歩き方があるんだと思いました(*^^*)
絶対に奥さんに看取ってもらうんだという男性の多い中、立派ですね。
練習というか心構え。
石川セリさんてこんなお顔だったんですね。
Commented by alglider at 2015-09-17 23:11
さとさんへ

ちょっと誤解がありようで。
わたしもお咲きさんよりは先に逝きたいほうですよ。
しかし、それが叶うか叶わないかは神のみぞ知る、で
もし一人取り残されたら、という心構えです。
石川セリさん、このメイクはきつい方ですね。
今はマスコミに出てこられないので分かりませんね。

パンタタ☮
by alglider | 2015-09-12 21:00 | 短歌 | Comments(4)

さびしさを糸でかがればかぎ裂きのかたちしてをり棘のあるらし


by alglider
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