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あるのすさび

さびしさを糸でかがればかぎ裂きのかたちしてをり棘のあるらし


by alglider
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睦月尽日   一首+二首

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20:47



酩 酊 の 手 を つ な ぐ 人 つ い に な く 知 り 得 ぬ ま ま の う し ろ の 正 面



めいていのてをつなぐひとついになくしりえぬままのうしろのしょうめん




 睦月も

 今日でおしまい。まあ、切りのいいカレンダーの終わりと始まりである。毎月が正月を迎えるかのように、時計の針が午前0時を回ったらカレンダーをめくるようにしている。リビングと自分の部屋とトイレの3枚。なぜこのようにきっちりとめくるかといえば、お酒をやめたからである。断酒してすぐではなかったけれど、依存症だった昔を思い返すたびに、何か守れること、きっちりしたことをして、埋め合わせようとする気持ちが働きだしたのである。しかし、そんなことで過去を埋め合わせることはできないから、要するに自己満足、欺瞞なのであるが、まあ、だれにも迷惑を掛けているわけではないので、やっている。些細なことにそういう“埋め合わせ行動”が出て、あきれられることもあるが、見逃してもらっているという塩梅である。


 30日に山口小夜子さんの過去を追うドキュメント映画「氷の花火」を見に行ってきた。私の母は洋裁をやっていたので、家に装苑とかドレスメーキングなどの雑誌があり、ファッションモデルたちの写真が身近にあった。山口小夜子さんとの出会いは資生堂の化粧品のコマーシャルだと思う。装苑やドレメにも載っていただろうし、家には「花椿」があった。ずっと取り置いていたし、気に入った写真などは教科書や参考書にきれいに、キャンバスを作るように丁寧に貼り付けていた。



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             妖 艶 を 吾 に 知 ら し め お か っぱ の 山 口 小 夜 子 ひ と 世 舞 い 終 え

           

             月 蝕 に な に 裁 ち 切 り し お か っ ぱ の 少 女 見 る 夢 髪 降 り 止 ま ぬ




 山口小夜子さんが亡くなって短歌を二首作っていたが、短歌を始めたばかりのころでできは良くない。でも、思いを短歌に詠もうとし始めていた時期の記念でもある。映画を見てしばらくは寂しい思いでいっぱいだった。私は山口小夜子さんの美、二次元の世界が好きなだけであって、何も知らずにきたんだなあ、とボーっとしてしまった。一旦モデルを止め舞踏やパフォーマンスに近づいたときのことを知らない。それはすごく彼女の大事な部分を知らずにきた“好き”だったわけである。大駱駝艦・山海塾の天児牛大さんが映画の中で思い出を語っていたけれど、そこまで仕事を一緒にされてたことを知らずにいた。東京の大森にあった大駱駝艦の練習場に何日かお世話になったことがあって、天児牛大さんが「山口小夜子という女性が一緒に仕事をしたいと言ってるけれど…」とか話されて、私が「山口小夜子を知らないんですか?」とびっくりしたことがあったのだ。しかし、それから小夜子さんの思いは通じたらしく、山海塾との仕事が形となる(写真集を探しているがなかなか手に入らない)。そうなのだ、これもお酒のせいで、山海塾との縁も切れていき、小夜子さんへの思いも遠のいていったのだった。



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 で、ぼーっとしていた後で気づいたのだ。山口小夜子さんが亡くなったとき、消えてしまったかのような寂しさを感じていたが、今、映画を見てから感じている寂しさは別ものである。それはアルコール依存症の時期などを考えると、そのころ私はいろいろなものを失っている。山口小夜子さんが取り組み始めた舞台や朗読など、新しく出会う時期を私は喪失していたのだった。これは喪失への悔いの感情なのである。


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 上映はシネ・リーブル梅田、空中庭園のある新梅田シティで。



 そんなこんな。



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只今のながらCD

aja / STEELY DAN
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Commented by BEATNIKS at 2016-02-05 23:25 x
ご無沙汰しています。氷の花火、ブログ見て早速観てきました。なんかなんとも言えない気分になりました。
Commented by alglider at 2016-02-07 15:24
BEATNIKSさんへ

私も変な気持ちが残りました。何だろうね。しばらく考えてみます。
最後の小夜子プロジェクトは不要でしたね。あれは良くないな。
とりあえず。

パンタタ☮
Commented by BEATNIKS at 2016-02-08 23:17 x
そうなんです。最後の方は要らんなと連れと話ながらビルを出ました。寛斎の発言は納得。
いろんなことをやり過ぎたような、とても貪欲だったような、スッっとした容姿と裏腹なメラメラ部分があったような気がしました。
by alglider | 2016-01-31 18:43 | 短歌 | Comments(3)