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あるのすさび

さびしさを糸でかがればかぎ裂きのかたちしてをり棘のあるらし


by alglider
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以上でも以下でもない パンタ短歌 14

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 心が騒がない、と書けば、アルコール依存症で自助会に行っている人ならば、[それは酒に走ることがない、平穏で心のベターな状態]と判断するかもしれない。しかし、それがひとつもよろしくないのである、と思う。

 自助会のひとつ、断酒会では体験談が中心である。[体験談に始まって、体験談に終わる]とも言われる。事実に徹しようとするこの方法論には、お酒をやめるために無用な意見や方法論の対立を回避しようとする先人達の知恵が垣間見える。しかし実際、それを実行するのは結構難しいことで、[昨日、甲子園に行きましたが、飲みませんでした]てな近況報告なら別だが、やはり話すということにはその人それなりの判断や意見などが入ってくる。本当に自分の起こした事実のみに徹するというのは、一種の修行みたいなものだ、と思う。そこを、どう今の心持ちなどと絡めてどう語れるかが、それこそその人の体験談歴であったり話芸であったりする。事実を語るのではなく、体験を語るというのは、事実を物語化することで、極端にいえば[真実]という[嘘]を語ることなのである。

 で、その物語に[心が騒がない]ので、ひとつもよろしくないのである。断酒会には、あの人の体験談は聞く価値があるなどと噂にのぼる名弁士がいらっしゃるのだが、そういう人の話は大概の場合悲惨な事実を含んでいる、[心が騒がない]のである。私が慣れたのか、鈍ったのか、衰えたのか、はたまた語る人が話芸に精進せずにいるのか、耳に届く[体験談]は、[事実]以上でも以下でもない、単なる[事実]にしか過ぎないし、例え[意見]であろうともそれは[意見]にしか過ぎぬ日々が続いている。

 有名だが[一滴の涙も含んでいない海はない]という例えがある。しかし、その[涙]が感じられぬ。最近、私に届けられる海は、例えそれが暴風雨に荒れ狂うものであろうとも、どうしようもなくただの海なのである。多分、私は疲れているのだろうけれど、まことによろしくないのである。



今日のパンタ短歌

口ずさむワイナンロゼスふと途絶え何を埋められたる向日葵


今日のながらCD

FILLMORE EAST LIVE/THE ALLMAN BROTHERS BAND
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Commented by ビリケン at 2006-07-22 22:49 x
携帯に取り込んだ「悲しき雨音」聞きながらブログよんでます。
きょうはキョンシーですか。
疲れ溜まってますか?
俺も疲れ出てます。
by alglider | 2006-07-22 17:42 | 回復過程 | Comments(1)