黒いショーツ

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 一週間ほど前になるか、マンションから駅に続く裏道に、女性用の下着、黒いショーツ(最近はパンツとは呼ばないらしい。そのくらいは知っている)二枚落ちていた。近くの公団住宅のベランダから飛ばされたにしては距離もあって不自然だ。多分、下着泥棒が落としたか捨てていったか、それとも変質者の嫌がらせかと思う。裏道を使えば駅には10分程度着くから、ほとんどの人がここを通るのだけれども、なにしろ裏道は裏山の公園の遊歩道のようなもので、夕方などは回りよりも一足早く夕闇が訪れ、物騒ではある。下半身裸のコートおじさんのウワサも聞いたことがある。娘が遅くなるときはよく迎えに行ったものだ。それで、うってつけと思う人が現れるのか、何かと物が不法投棄されて、まぁ、そこには家で処分に困った青少年諸君のいかがわしい物も混じっていたりもするのだ。公園があるから、市の清掃係の人が時々片付けているのを見るけれども.......

 で、まぁ、片付けるというか、見かねて誰かがその黒いショーツを道の端に退けたのであろうが、夕立ちなどに合ったり、砂埃を被ったりしてショーツはただの黒い布切れと化している。

 んで、一昨日、徹夜バイトの早朝帰宅の折り、その黒い布切れのあたりで、向いから来る母と娘らしい二人とすれ違うことになった。娘さんが、遠くから黒い何かを見つけ
 「あぁ、何か変なもんがいてる」と言った。母親は
 「猫とちゃうか」と言う。(最近では少なくなったが、この公園一帯はノラ猫のサンクチュアリでもあった)
 私との距離が狭まってくる。イカン、このままではパンツ(私の中ではパンツだ)ですれ違ってしまう、と思う。母娘二人は、奇妙な生き物をジッと品定めするような目つきで近付いてきて
 「なーんや、動物ちゃうやん、ただの布やん」
 と言って駅の方へ去っていった。

 よかったっ。あそこで「いやー、ショーツやんか、なんでぇ」とか言われていたら、私は自分が下着泥棒または悪意を施した人物と、指摘されたような気になって、下を向いてしまっていただろう。身についたこういう羞恥の感覚は、いくら自分に非がなくてもなかなかなくならない。いやはや。しかも、すれ違う前から、自分の前で「いやーん......云々」なんて言われたらどうしようか? なんて困ってしまっている。一本道で迂回もできず、引き返した挙げ句、下着と知れたら、余計に変質者扱いではないか.........

 これは羞恥の話だけれども、最近は道に様々な物が落ちていて、歩行に際する便利不便の問題ではなく、目に入ってくる心の問題としても歩きにくいと思う今日この頃なのだ。
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Commented by ビリケン at 2006-08-29 21:45 x
西成に居た頃、「禁酒」と、マジックで書いたTシャツ着て、自販機の前でビール飲んでました。
羞恥心は俺の辞書に無かった頃です。
Commented by office-nekonote at 2006-08-29 23:20
30年ぐらい前ですか、福島駅そばに高架の大きな橋ができました。
近くの小学生たちがボランティア清掃に行ったのですが、1日で終わりとなりました。あまりにも教育上ふさわしくないものがたくさん落ちていたそうです。
家の子どもの小学校の前に地下道がありますが、そこの掃除は当番の学年が交代でやています。タバコの吸殻はたくさん落ちています。使い捨て手袋をさせないといけないような物だって落ちていることもあります。
てゆーか、そんなもの捨てるるなでありますよ。
それにしてもご婦人のパンツが気になるなんて、少年のようです。
Commented by パンタタヌキチ at 2006-08-30 10:48 x
お返事
ビリケンさんへ。そういうお酒に関する羞恥心はなかったですね。満員の通勤電車で吊り革に捕まり、片足浮いてても缶ビール飲んでましたから......
たま猫さんへ。
あるべき処にあるべき物があれば、気にならないんですよ。シュールレアリズムの絵画ではないんですから、突拍子もない邂逅はドキッとします。
Commented by office-nekonote at 2006-08-30 11:50
掃除ばかりしていると歩道橋の上にパンティ(古っ!)が落ちていても「困るねえ、さっさとと片付けなきゃ。」としか思わなくなるのであります。確かに箪笥の中にあればなんと言うことはないものですね。
こちらはあるべきところにないほうが、がっくりでございます。
by alglider | 2006-08-28 08:58 | 日々是口実 | Comments(4)

さびしさを糸でかがればかぎ裂きのかたちしてをり棘のあるらし


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