K子さんのこと

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 10月末に水依存症の病気から退院したK子さんからの電話があって、予定より早く起床した。鬱が出始めて、また水を飲む量が増えているという。先日も電話があり、調子が悪いとは聞いていたのだが、とても心配である。今日一日、お酒ではなくて、水を飲み過ぎない決意をしたと、それを誰かに表明したくて、電話をしてきたのだという。

 K子さんとは一昨年、同じ時期に入院していた。アル中患者同士喫煙室で談笑していると隣に座っていたのがK子さんだった。話の内容は覚えていないが、何となく同世代の雰囲気が話題の中にあったのか、多分K子さんの方から

 「何年生まれ」と訊ねてきた。

 「(昭和)30年」と答えると、

 「同じ歳やねぇ、私も30年、生まれ月は?」

 「1月です」と返せば、K子さんも1月であるという。そうなると期待が高じて

 「日にちは」とK子さんが更に問う

 「21日」と言うと、果たして、K子さんも同じ「21日」なのだった。

 北と南で違ったけれど、生地も同じく京都だった。

 全く同じ、生年月日を持つ人間が、同じ病気、アル中になって、同じ病院にしかも同時期に入院している。この奇遇を二人で感嘆しあった。

 一時、K子さんは病院中の顔見知りに言っていたと思う。誰かが飲酒して、内省室に入れられたとか、そのようなことが話題になることが多い病院で、二人にとってはささやかだけれども不思議な明るい話題だった。それ以降、急に親しくなり、それ以前から気の合っていた男性患者にK子さんも参加して深夜のチョコレートパーティーが開かれるようになった。

 Kさんは私より二か月早く退院し、T市の断酒会に入会していた。入院中の私はその例会場に病院から毎週通った。私が退院してからも、二人で誘いあいながら、よく例会場を回った。例会以外でも、エミール・ガレを見に行ったり、旦那さんも一緒に南正人を見に行ったりもした。再飲酒をあれほど恐れている依存症者を私は知らない。それが水に向かわせたと思う。

 そのK子さんから、朝方電話があったのだ。念じている。






野分け過ぎ天上の湖(うみ)碧深き水依存の君空に飛び込め
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Commented by machi at 2006-12-09 13:29 x
不思議な縁ですね。
いつも仲間として回っている姿を見ていて 仲間っていいな・・と思っていました。
そんな縁でしたか・・。
私は彼女と何で繋がって居るのかな?
これも不思議な縁でしょうね。
 「水は簡単に許してくれへん」と彼女が言います。
酒なら気を失うことも出来るけど水は・・・と。
Commented by ヨーコ at 2006-12-09 20:09 x
本当に不思議なご縁ってありますね。
わたしにも、初めて行ったAAの会場でたまたま空いていた隣の席に座ったことからインターネットの話になり、次の機会にまたまた再会して(洒落ではなく)隣の席だったことから生まれたご縁で、ブログに投稿するようになった男性のアル中さんがおります。
会場で再会する度に近くの席に座るようになり、話に花が咲く事も多く、一時は一握りの下卑たうわさを流すひとたちも居ました。
それも一つの遠因になり、AAに嫌気がさすことにも成りました。
それでも彼とは今も好い交流を続けておりますが・・・・

水依存で何度も入退院をなさっている方にも実際に会ったことがありますが、実態はどういうものか解りませんでした。が、ここで少し理解できたような気が致します。
Commented by machi at 2006-12-09 21:17 x
依存する物が酒から水に替わった。 退院の時にはタバコも止めていた彼女。
現実に欝に入った今、毎日が辛そうです。
水の誘惑は特に強いようです。

自分が背伸びしなくていい関係
自分をそのまま受け入れてくれる関係

ヨーコさん、なかなかそんな人にめぐり合うのは至難の技ですね。
by alglider | 2006-12-09 07:34 | 日々是口実 | Comments(3)

さびしさを糸でかがればかぎ裂きのかたちしてをり棘のあるらし


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