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目撃者パンタタ

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15:43

 仕事の帰り道。天神橋北詰の交差点で、

 どごんっ、と乾いたしかも大きな音がしたので、見遣ると車がのろのろと反対車線の歩道に乗り上げ止まるのが見える。さらに眼を凝らすと、バイクが倒れている。初めは止めてあったバイクに当たったのかなと思ったが、さらさらに眼を凝らすと、バイクの横に人が倒れている。えーっ、事故やんかっ。さっき、10メートルほど前に交番を通り過ぎたところ。踵を返し、交番へダッシュしましたがな。電話しているより早いし、おまわりさんも現場へすぐ駆け付けることができるし。

 ドアを「押す」と書いてあったのを何故か慌てず確認して、押した。「事故です」と言うと、目の前のおまわりさんは電話中、だが、も一度「事故です」とやや大きめの声で言うと、中からどやどやと二人出てきはりました。

 「そこの陸橋の下で、車とバイクが、人が倒れてはります」

 二人のうち若い方のおまわりさんが現場へ向かう。残った年輩のおまわりさんに
 
 「君は事故を見たのか」

 と問われたので
 
 「いえ、音がしたので眼をやると、人が倒れていて.......」

 事故の瞬間を目撃していたのなら現場へ一緒に行かなければならなかったみたいだ。当然、直接見た、と、結果を見た、では扱いが違うだろう。何かあったときのために、と言われて住所と名前と年令と携帯の番号を尋ねれられた。年令を聞かれたのには、ちょっと驚いた、というか意表を突くなぁ、という感じだった。

 変な言い方だけれども、直接、事故そのものを目撃しなくてよかった。「車の方が一方的に突っ込みました......」とか、はたまた「バイクがスピードを緩めずにカーブを.....」とか、例え現実に起こった事実でも、この眼で確実に見たとしても、確信を持って「話す」自信のようなものは、今の私には無い。どうも、世の中で起こることが不確かに感じられるのである。

 交番から解放されて、再び帰路につくと、若いおまわりさんが現場を仕切っていた。倒れていた男性は、座って携帯をかけていたように思う。会社にでもかけていたのだろうか、とにかく大事でなくてよかった。



只今のながらCD

THE COCKNY REBEL A STEVE HARLEY ANTHOLOGY





 
by alglider | 2006-12-15 11:46 | 日々是口実

さびしさを糸でかがればかぎ裂きのかたちしてをり棘のあるらし


by alglider
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