秋の一部 + 短歌

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22:23

 夏の


 陽射しは、陰影が強く、私と物と風景をばらばらに孤立させるが、秋の陽はやわらかく私を包み込むものだから、逆に物や風景との距離が取れなくなり、陽に包まれてその空間に溶解している、または浮遊してゐる感覚に襲われる。夏は体的につらいが、秋は秋で距離が取れず精神的につらくなる。私はすでに秋の一部なのだつた。


 秋はセンチメンタルな気分になると言ふが、それは自分と物の関係、自分と風景の関係が取れず、その中に含まれてしまふことの個の喪失、個の喪失による全体性の喪失からやつてくるもののやふだ。喪失感がやつてくると人は、鳥瞰で自分を捉える努力を知らず知らずにする。補ふのだ。私は色濃く影をなす枇杷の葉を見てゐるのだが、もう一つの頭では枇杷を見てゐる自分の置かれた風景全体を感知している。溶解、浮遊してゐる。それほど秋の陽はやわらかい。ときどき肌を刺す裏切りがあるけれど。


 自分といふものがありながら風景全体を感知している不安定な感覚を補ふために、さらに、鳥瞰図の中に枇杷の木と葉と自分を配置してみる。そこはグーグル・アースのやふでもあり、さて、と声をあげて公園へ歩いていくジオラマの中の私がゐるやふでもある。





放ったらかしだった短歌まとめました。 sutanka 。三十五首もあった。ちょこっとだけ推敲しました。







秋 の 陽 に 枇 杷 の 葉 ふ か く 影 を な し 捥 ぎ し ま ま 過 ぐ 夏 の 果 実 よ




あきのひにびわのはふかくかげをなしもぎしまますぐなつのかじつよ







只今のながらCD

FRAGILE / YES
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Commented by くも at 2008-09-14 23:57 x
いい流れの歌になりました。
「秋の果実よ」がどうでしょう。

初句に「秋」とあって、「夏」ですか。
「枇杷」とあって「果実」ですか。

結句、なんとかならないでしょうか。

生意気言ってすみません・・・
Commented by パンタタ at 2008-09-15 00:28 x
くもさんへ
「秋」と「夏」とやるとまずいですか、そうか.....
なるほど、そう考えうと「琵琶」と「果実」も言葉がもったいない。
いい流れの歌、と言われてしまったら、
考え直さないとなあ。
「夏」は残したいので、
初句と「果実」かなあ......直すのは。
いつもありがとうございます。
Commented by at 2008-09-15 20:27 x
旧仮名、ですね。
今日の記事にはことのほか旧仮名が似合ふ気がします。

俯瞰して見られないなぁ、自分のこと。

「月光」まだかなぁ。
Commented by パンタタ at 2008-09-15 20:57 x
文さんへ
はい、今日の文章は旧假名が似合うかと思いましたが、
ちょっと完全かは心もとない....^^;
>俯瞰して見られないなぁ、
いやいや、知らず知らずそうなっていますよ、きっと。

そうなんです、遅れてるようです。
なんの連絡もないのですが.....
10月2日に福島さんの絶叫ライブが京都であります。
平日なので、どうするべきか苦慮。
Commented by at 2008-09-15 21:29 x
京都はいいチャンスですねぇ。

もう少し元気なら行ってみたいけれど、なんだかだんだんパワーが下がってきてる気がして、「行くんだい!」って、宣言するエネルギーが出そうもありません。
Commented by パンタタ at 2008-09-15 21:41 x
文さんへ
いいチャンスなんですが、仕事を早退するか休むかしないとなぁ。
終わってからもじっくりお話する時間もとれません。
いつも平日なんですよ。
パワーが落ちてる時は、省エネで充足感をね。
by alglider | 2008-09-14 17:53 | 短歌 | Comments(6)

さびしさを糸でかがればかぎ裂きのかたちしてをり棘のあるらし


by alglider
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