口惜しき番組

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23:32

 NHK


 の「知るを楽しむ」シリーズの「私のこだわり人物伝」、十月は町田康さんが担当で「口惜しき人 中原中也」である。今日からだった。非常に楽しみにしていた。


 何しろ、中原中也さんは、私を詩や五七調のしらべにはまらせた詩人。文学に興味を持つきっかけをつくった人である。町田康さんは、アルコール依存症で入院を決意し、入院日までに当時出版されてた本すべて注文し、読んでしまってから入院した作家だ(パンクロックの分野の話はまた別)。そして、この番組のナレーションを務めているのは、中也を絶叫し続けて三十余年、歌人・福島泰樹さんである。私がまともに影響を受けた三人が出演するのである。


 で、第一印象は実にたわいなく、町田康さん、太ってしまったのね、だった。ヴィヴィアン・ウェストウッドの服がやけに浮いて目立ってイタい。で、番組はというと実にくだらなかった。よかったのは、贔屓で言うのではなく福島さんのナレーションだけだった。さすがに三十余年はだてじゃない。抑揚が利き、思いが伝わってくる(ちょうど今、福島泰樹著「中原中也 帝都慕情」NHK出版を読んでいる最中)。「知るを楽しむ」のNHKテキストを買っているのだが、そこでは町田康さん独自の視点で中原中也さんが語られているのに、それが番組に生かされていない、というか映像化されていない。ただ故郷を訪ね、ぼんやりとした誰でも言える印象を語っているだけのシーンは可哀そうでもある。町田康さんが「口惜しき人」になってしまっている。墓を参るのもいいし、思い出の神社を訪ねるのも結構だけど、おざなりな構成としかいいようがない。本当に意味がなかった。


 町田康さんが中也の詩を朗読し、福島泰樹さんがナレーションでシーンをつないでいき、その上にどうして、なぜまた別の若手俳優(?)による詩の朗読まで必要だったのか。ばらばらである。たった二十五分間の番組だよ、構成の筋が通っていないこと甚だしい。二十五分間に三種類の声が必要? (続いてあった視点・論点の山内昌之さん一人で10分間、聞かせましたよ)安易なイメージ映像にのせた朗読も、テキストにある町田康さんの視点とはかけ離れている。ひどい番組だった。ま、来週も見るけど、録画もしてるけど、って、どっちやねんっ!とお叱りの声もなく、みなさんの健康とご多幸をお祈りしながら終了。ばいちゃ。




只今のながらCD

さらば常盤座の灯よ! / 福島泰樹
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by alglider | 2008-10-07 19:37 | 日々是口実 | Comments(0)

さびしさを糸でかがればかぎ裂きのかたちしてをり棘のあるらし


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