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あるのすさび

さびしさを糸でかがればかぎ裂きのかたちしてをり棘のあるらし


by alglider
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忘れられない詩

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23:27

 昨夜、


 中原中也さん、町田康さん、福島泰樹さん、と三人並べて、影響を受けた人たちと書いたが、もう何人か、私にはとても影響を受け、忘れられない詩人たち(故人も存命の人も含めて)がいる。忘れていたわけではないけれど、昨日は出番がなかっただけだ。今日は、その敬愛する詩人のうちの一人、故・田村隆一さんの詩「帰途」を載せる。






帰途            田村隆一


言葉なんかおぼえるんじゃなかった
言葉のない世界
意味が意味にならない世界に生きてたら
どんなによかったか

あなたが美しい言葉に復讐されても
そいつは ぼくとは無関係だ
きみが静かな意味に血を流したところで
そいつも無関係だ

あなたのやさしい眼のなかにある涙
きみの沈黙の舌からおちてくる痛苦
ぼくたちの世界にもし言葉がなかったら
ぼくはただそれを眺めて立ち去るだろう

あなたの涙に 果実の核ほどの意味があるか
きみの一滴の血に この世界の夕暮れの
ふるえるような夕焼けのひびきがあるか

言葉なんかおぼえるんじゃなかった
日本語とほんのすこしの外国語をおぼえたおかげで
ぼくはあなたの涙のなかに立ちどまる
ぼくはきみの血のなかにたったひとりで掃ってくる








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by alglider | 2008-10-08 19:24 | 日々是口実 | Comments(0)