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睦月尽日   一首

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19:26



そ の 日 に は 足 す も の の な し 艶 蕗 の 黄 の 花 び ら の 欠 け て あ れ ど も



そのひにはたすもののなしつわぶきのきのはなびらかけてあれども




 寒く、


 時折り雪のちらつく睦月晦日。私の生まれた日も雪が降っていたと聞く。そのせいか、子供、少年、青年期を通して寒さには強かった気がするが、この頃はめっきり駄目で、家の中でも靴下を履くようになった。そのように年を重ねたことが原因と思われる体の変化がいくつもある。


 老眼鏡をかけるようになったし、耳も遠くなりときどきお咲きさんがイラついてるのが分かるし、寒さにも弱くなり重ね着をし、朝早く目が覚め、甘いものを欲するようになり…..と書いていると切りがない。体ばかりでなく頭の方、記憶力もずいぶんおぼつかない。ちょっといい言葉を思いついても、その場で書き留めないと、3分後には忘れている。


 CDや本なども「これ頼んだ?」というのが送られてきたりして、注文履歴を見るとしっかり頼んでいたりする。意識ではのんびり行こう、と思っているのだが、心のどこかで生きることを急いでいる。あれやこれやを生きている間に見て聞いて触れたいのだろう。だから若いころに見聞できなかった本や音を重箱の隅をつつくように注文していたりする。しかし、それはやっぱり、日常の生活からは随分と離れた超趣味のものだから「あれ、これ頼んでいたっけ?」と、注文時と受け取り時の間には感情の落差があったりする。「落ち着きなさい私」と言い聞かせねばならぬ日々である。


 タンジェリン・ドリームのリーダーだったエドガー・フローゼが70歳で亡くなった。私と10歳しか違わなかったパラレルな人生を思うと不思議な気分になる。もう私は追いつくことしかできないのだ。



 そんなこんな。



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只今のながらCD

RICOCHET / TANGERINE DREAM
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by alglider | 2015-01-31 18:14 | 短歌 | Comments(6)

耳順     再掲一首


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21:35


再掲

耳 順 と は 暮 れ 方 な ら む 誰 か ら も 心 い た だ く 花 い ち も ん め



じじゅんとはくれかたならむたれからもこころいただくはないちもんめ



 一月は


 お酒をやめはじめた18日があり、誕生日も3日後の21日で、なかなか心のあわただしい月である。日時を選んで生まれたわけではないけれど、お酒も日時を選んでやめたわけではない。やめられていることに気づいた時が物心ついたときの人生のように始まりなだけである。


 で、お酒をやめて10年が過ぎ、11年目に入った。やめ始めたころに立ち返ると、10年というのは夢のような話で「10年やめています」という人の話を、なんの実感も持たず病院で聞いていたことを思いだす。決意もなく気づいたらお酒を飲まずに1日が経っていた、という延長で10年がたった。


 誕生日の方は乙未。還暦、耳順である。耳順というのは、孔子の「論語」為政第二の第四節からの言葉で「吾 十有五にして学を志し、三十にして立ち、四十にして惑わず。五十にして天命を知り、六十にして耳順う。七十にして心の欲する所に従えども、矩を踰えず」。耳順より40歳の不惑あたりが有名だろうか。で、60歳で他人の意見に反発を感じず、素直に耳を傾けられるようになるというのはなかなか徳の要ることで、孔子も難儀な言葉を残してくれたものである。


 昔の60というのは長生きでめでたく、それこそ赤いちゃんちゃんこなどが似合うほどめでたい席を設けたりしたのであろう。私は赤いちゃんちゃんここそ着ないが、まあ目出度いことであるよのう、程度に思っていたのだが、仕事で還暦は男の大厄であることを知った。ま、調子の乗らず気を付けて足元をすくわれないよう、ということであるかもしれない。断酒10年と還暦が重なったのも何らかの意味を見つけなさいという巡りあわせであろう。そして持病の再発、悪化のないことを祈る。


 短歌結社「月光の会」に入ってもう何年にもなるのに、今年初めて福島泰樹主宰に年賀状を出した。今年は性根を入れて作歌に励む心意気の表明だったのに「思い出」をめぐる連作がなかなかできず。締め切りが近づいてきた、嗚呼。



 そんなこんな。



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只今のながらCD

NEVER TURN YOUR BACK ON A FRIEND / BUDGIE
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by alglider | 2015-01-25 21:34 | Comments(2)

月光 36号 特集「あの人に贈る一首」掲載原稿



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「鶏頭......母へ」




 暗 く 赤 く ほ ぐ れ ぬ も の を 持 つ こ と も 美 し き か な 鶏 頭 の 襞    高木佳子




 花に性愛を重ね合わせるようになったのは、私が高校1年生、1970年のことだ。そのような特定ができるのは、’70年の「少年マガジン」に掲載された“昭和の絵師”上村一夫の漫画「鶏頭の花」を読んだときの何とも言えぬ背徳感を覚えているからだ。そもそも花などに興味のなかった無粋漢であったが、以来、庭に咲く野辺に咲く鶏頭には目を遣るようになる。


 性愛は限りになく死に近く、鶏頭の花は母の頬に咲いた。1998年クリスマスイヴを迎えた未明、母は日本初のホスピスを設けた淀川キリスト教病院で亡くなる。頬の腫瘍は口腔を貫通し赤い空花となり、腐りゆくものの臭いを放つ。患部の神経はほぐれぬほど絡まっており手術は困難だった。私はずっとお酒を飲んでいた。葬儀の手配も兄まかせで、酔うて何が起こっているのか、悲しいのかどうかさえ分からずにいた。


 血液の病気を罹患した今、死を思うことも多くなり、そんなとき鶏頭の花が頭に浮かぶ。得体のしれぬもの、手の届かぬものはそれゆえに美しい。私が聞いた母の最期の言葉は、なぜか「美しい」だった。





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只今のながらCD

BLAK AND BLU / GARY CLARK JR.
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by alglider | 2015-01-09 18:37 | Comments(2)

六十而耳順   一首

■ 羊
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           あけましておめでとうございます




■ 雪が降りしきる中、ユンボの写真を収めに立ち入り禁止の工事現場へ(2015/01/01)。
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18:32



日 曜 の ユ ン ボ は ひ と り 鋼 鉄 の 疑 問 の ま ま に ふ か く 眠 れ り



にちようのゆんぼはひとりこうてつのぎもんのままにふかくねむれり





 昼に


 起きだしてパソコンを立ち上げ、しばらくしたらネットにつながらなくなった。リビングの方でお咲きさんと娘さんの声がする。部屋から出ていくとリビングと娘さんの部屋の電気が落ちている。廊下の納屋を開け、ブレーカーを探すと案の定、一区分が落ちていた。とりあえず電力消費を少なくしてブレーカーを入れる(現在まで大丈夫)。


 それから元日の寒風吹きすさぶ中、買い物へ出た。いろいろ買い込んであるから、特段出かける必要はないのだけれど、年始の風景というものはやはりいつもと違って、どこか日常とずれていて魅力的だから、ついつい出かける。(明日も)(その魅力も年々減っていっている。ずれが少なくなってきたのだ)。パソコンに向かっていると口寂しくなることがあるので、正月休み対策にあられを買った。ポリポリと食べながら今、パソコンに向かっている。


 そうそう、帰り途中、ジョウビダキを見る。羽に白い紋があって胸のあたりが臙脂色なので雄である。ジョウビダキは結構近くまで寄って見ることのできる野鳥だ。こんな小さい体でチベット辺りから渡って来ると思うといとおしい。


 家に着くころに雪が降り始めた。部屋でブレーカーのことを考えると、どうも娘さんの部屋の配線が原因である気がしてくる。ここ何年か冷戦状態の娘さんに尋ねると、蛸足配線の可能性あり。そう思いつくと居ても立っても居られなくなって、電源を違うところから引けるように、コンセントを買いにまた出かようとドアを開けると、何と、嗚呼、外は銀世界。たった半時間ほどで世界は変わってしまっていた。元日の雪は久しぶりというか、これまであったのかな。


 スーパーの家電担当の人にブレーカーの話をしてコンセントを求める。これを引く電源が本棚の後ろ。大変だああああ。新年早々一仕事である。





 そんなこんな。



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只今のながらCD

日本少年 / あがた森魚
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by alglider | 2015-01-01 17:35 | 短歌 | Comments(3)

さびしさを糸でかがればかぎ裂きのかたちしてをり棘のあるらし


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