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陽の当たる場所    一首

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22:37



ね え あ な た あ し た に 空 が 割 れ る の よ 風 ふ き わ た り 花 そ よ ぎ お り



.ねえあなたあしたにそらがわれるのよかぜふきわたりはなそよぎおり



 25日の


 土曜日、病院の帰りに実家に立ち寄った。最寄り駅近くに立命館大学のキャンパスが新しくできたので、駅の雰囲気が若々しくてびっくり。まあ、若者だらけなのである。小糠雨の中、実家へ。誰も住んでいないので、久しぶりに鍵を開けるのはちょっと恐い。雨模様なので、風は通さず。パウル・ツェランの「迫る光」とロートレアモンの「マルドロールの歌」を取りに来たのだけれど、「マルドロールの歌」が本棚に見つからない。えー、おかしいなあ、と思い二重に積まれている本の前面を床に下ろし始めると、ああ、大仕事になってしまった。


 私が家を出てから父親が自分の部屋にしてしまったので、本棚の前に机をデンッと置いてしまっている。ああ、この机の向こう側かもしれない、と机の下にもぐりこんで懐中電灯で探しているとひと汗かいてしまった。エアコンが故障していなかったのが奇跡的にラッキー。ロートレアモンは諦めて、探す途中で出てきた清水昶の詩集「夜の椅子」と「朝の道」、ジョルジュ・バタイユの「大天使」、マンレイの写真集などなど鞄に詰め込んで、葉ね文庫へ向かった。30年以上棚に眠っていた本に陽が当たるかもしれない(当たった!)。


 上の写真は実家にあったアルバムをしばし眺めていて、2歳前の私がレコードプレーヤーに向かっているところを加工トリミングしたもの。このころから好きだったのか。家には映画のサウンドトラックやジャズボーカルのSP盤が結構あった。「バッテンボー」は「ボタンとリボン」のことと後日知る。



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 葉ね文庫店主、池上さんが「荒木時彦の詩集を一番揃えてる店」というので、先日は買いそびれてしまった。何だか調和を乱す気がしたからであるが、今回は「えいっ、すまぬ」と思い切って「あなたが出かけてしまったあとにー24の断章ー」と「要素」の二冊を買った。「あなたが~」は秘められた手帳を読む思いである。



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                駅までの道にアガパンサスが咲いている。一首詠もうと思っている。






 そんなこんな。




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只今のながらCD

LIVE AT MARQUEE,LONDON,AUGUST 10th,1971 / KING CRIMSON
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by alglider | 2016-06-26 15:30 | 短歌 | Comments(2)

クレーンが来た   一首


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20:37



未 完 と い う 花 こ と ば あ り 明 日 か ら は 吹 き わ た る べ し 風 の 托 卵



みかんというはなことばありあすからはふきわたるべしかぜのたくらん



 土曜日


 いろいろとお世話になっている病院(病院て、笑)の呼吸器内科へ行ってきた。予約なしだから頑張って早く起きたのだけれど、肩透かしのように混んでなくって、会社の精密検査依頼の手紙を渡して、しばらくソファで眠りながら待った。「左下肺野 限局性浸潤影」だからまずはレントゲンを撮りましょう、ということになって、私は「先生、CTでないのですか?」と尋ねたのだけれど「とりあえずはレントゲンで」。うーん、レントゲンで判別がつかなかったから再診に来ているのに、よく分からない“とりあえず”である。


 で、とりあえずレントゲンを撮ったのだが「よく分からないなあ」とおっしゃる。薄い影があるのだが(指し示してもらえば私にも分かる)、これがたいしたことあるのかないのか? で、CTを撮ることになり、結果は火曜の午前中に聞きに行くことになった。お咲きさんが「どうやった?」と尋ねるので、事の成り行きを言うと「金儲けやね」と言う。そうだったのか、と思ったりするが、まあ、こんなものかも、と思ったりもする。



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 病院の帰りに葉ね文庫へ寄って、井上法子さんの「永遠でないほうの火」の陳列写真をパチリ。私は隣りに並んでいる北村薫の「うた合わせ 北村薫の百人一首」を買った。北村薫さんは推理小説に「本」という要素を取り入れた猛烈読書家の博覧強記の人だけど、この本を読んで現代短歌のよき読者(かなりのものですよ)であるのに驚いた。好きでないとこんなこと書けない内容。またこれを仕入れている葉ね文庫にも感謝。




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 只今、わがマンションはおよそ10年に一度の一年間かけての大改修中。一番館が終わり、私の暮らす二番館に足場が立ち上がり始めた。クレーンの写真を撮るのが好きな私としては、遠くに出かけないで撮れるのがありがたい、笑。いい足場の写真も撮れそうで、うれしい。




 そんなこんな。




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只今のながらCD

EST-WEST LIVE / THE PAUL BUTTERFIELD BLUES BAND
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by alglider | 2016-06-19 19:22 | 短歌 | Comments(0)

紫陽花梔子咲いたよ、そして芥子も   一首



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19:37



二 つ ぶ の 向 精 神 薬 こ ろ が せ ば 指 の 谷 間 に 薄 日 は 差 せ り



ふたつぶのこうせいしんやくころがせばゆびのたにまにうすびはさせり



 5月に


 職場の健康診断があった。先日、誰よりも早くその結果が部長の手から渡され「あれ、何か引っ掛かったかいな」。というのも、検査結果に異常がない人はもっと後に庶務係が配るのが普通なんである。で、去年の秋のもそうだった。早い、というのは早く対応しなさいという計らいであろう。封筒をあけ診断書を見ると「治療要す」のD判定が二つ。一つは悪玉コレステロールは範囲内なのだが、善玉コレステロールが異常に少ない。40~119mg/dLのところ29しかない。前回は34、前々回は31、毎回D判定である。どうしたものか。赤血球数が多くヘモグロビンが少なく、白血球数が多いのは只今絶賛治療中である。この程度で部長から手渡しされることはない。よくよく見ると胸部X線の欄に「左下肺野 限局性浸潤影」とあった。


 胸部X線で異常を指摘されるのは2回目。1回目は背中に出来た腫瘍(良性のイボのようなもの)が影となって写り込んだもので、これは形成外科で切除してもらって終わり。今回はよく分からないのだけれど、調べると浸潤影というのは癌などには滅多に見られないもので、肺炎とか結核、気管支炎など、知らない間に罹患し知らない間に治ってるときにも写ったりするそうだ。そういえば今年の初め、吸入薬が要るていどの喘息に罹っていた。それかな。精密検査の結果を会社に出さなければならず、面倒なことだ。


 お酒を飲んでいたころに勤めていた出版社の健診でγ-GTPの数字(600とか800とか、笑)がめちゃくちゃ高く、編集長に呼び出され「このまま働かせると私は責任を問われる」と困らせたなあ。ま、結局お酒にせいで辞めることになったんだけど。



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           こころにも膜があるならにんげんのいちばん痛いところに皮ふを

           駅長が両手をふってうなずいて ああいとしいね、驟雨がくるね

           ほの青い切符を嚙めばふるさとのつたないことばあそびせつない

           月を洗えば月のにおいにさいなまれ夏のすべての雨うつくしい

          煮えたぎる鍋を見すえて だいじょうぶ これは永遠でないほうの火



 井上法子さんの第一歌集「永遠でないほうの火」(←クリック 注:関西在住の人は葉ね文庫←クリックでどうぞ)が出た。mixiを通じて知り合ったころ彼女は大学受験生だった。明治大学に進み、立教大学大学院修士課程を終え、今は東京大学大学院の博士課程に在学中である。何だか、理由はないけど「思えば遠くへ来たもんだ」という言葉を思いだす。福島から上京して、道に迷いながらたどり着いた紀伊国屋新宿店に、今や彼女自身の歌集が並んでいるのだ。万感胸に迫るものがあるよね、これ。私も頑張らなくっちゃ。励みになるなあ。



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 紫陽花が駅までの小径を彩るようになり、そして、今日は梔子の花が咲いていた。ひと雨ごとに思いは深まり、われより先に逝きし人たちを毎年思う水無月である。



 そんなこんな。





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只今のながらCD

TOO MUCH / TOO MUCH
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by alglider | 2016-06-12 16:20 | 短歌 | Comments(0)

私は意外と気楽  一首


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20:11



薬 包 紙 ひ ら く 朝 を き ら め い て 溶 け ゆ く も の は 累 々 た る 今



やくほうしひらくあしたをきらめいてとけゆくものはるいるいたるいま



 土曜日から


 お咲きさんが一週間の東京出張に出ている。私は意外と気楽にしていて、食事などは自分で作るので全く困らない。ぼちぼちとマイペースで、洗濯をしたり、ケーブルテレビの洋画などを見ている。月光への詠草も送ったし、森川君から頼まれていた詩客の原稿「私の好きな詩人」も送った。まず詩人を誰にするかに悩んだのだけれど、これまでにたぶん登場していないだろうと天野忠さんにした。詩客の古いのを読んでいると「私の好きな詩人」の欄で江夏名枝さんが山田兼士さんを取り上げていたので驚いた。山田兼士さんは大学の先輩で奥さんも先輩で歌人の山下泉さんである。関西で山田さんは詩誌「びーぐる」を運営されていたりの活動は知っていたが、詩を読むのは久しぶりだった。いい詩なの、これが。


9ポ明朝の乳を買いに


教室の窓から 養老山脈を眺めている
一九六七年の中学生は はや愁いを知る

耳奥に ピーター・ポール&マリーLemon treeのラジオ
目前には カムパネルラ&ジョバンニmilky wayの板書

放課後のグランドを 女の子たちが駆けまわる
その中のひとりを見続ける少年の 遠い春

つきあいで通う 塾の教室を脱け出し
病室に通う 母の笑顔が安心の証し

夕暮の農道を伊吹颪に押され 自転車で疾走し
町外れの活版所の 主任さんに挨拶し

父の仕事用9ポ明朝の 「乳」をもらう
帰り道は伊吹颪を顏に受け 闇空に雪が舞う

右半身が不随の父は いつも寡黙だった
電気屋に勤めるの兄の帰宅は いつも深夜だった

いま 三人が眠る仏壇の その後ろ 
窓の外に 二上山は 今日も乳色。




 昨日は血液内科受診の日だったが、白血球や血小板の数は相変わらず多いけれど、ヘマトクリットの数値は「L」で出るぐらい順調だった。今度も二か月後に受診。週に二錠の抗癌剤を処方される。


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 血液内科は採血をしてからの待ち時間が長い。ソファで本を読んでいて、後ろにもたれてう~んと伸びをすると、窓枠を飛行機が横切って行った。グッドタイミングでカシャ。


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 今日は詩人の疋田さん=笑福亭智丸さんが葉ね文庫で落語をやるというので聞きに行ってきた。神奈川からなっちゃんが詩人仲間ということで久しぶりに来阪。草野浩一さんや牛さんも、日ごろとはちがう落語の観賞会へ。よく片付けたな~という葉ね文庫の店内。天井の陰影をカシャ。演目は「ときうどん」「ちはやぶる」「蕎麦道拷問(オリジナル)」の三つ。繁昌亭の高座にも上がっているというから、繁昌亭の正社員に格上げされたという友達のむっちゃんにメールしたら、疋田君との仲のいい感じの返事が返って来た。三喬一門会の招待券があると言われたけど、平日は無理である。





 そんなこんな。




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只今のながらCD

真夜中詩集―ロウソクの消えるまで― / カルメン・マキ
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by alglider | 2016-06-05 18:42 | 短歌 | Comments(0)

さびしさを糸でかがればかぎ裂きのかたちしてをり棘のあるらし


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