東京日記3 + 短歌
2008年 06月 05日
23:39
雨のアメ横は
朝鮮語と中国語が飛び交う。日本語は声高に叫ぶ安売りの声ばかり。路地の中の路地のそのまた奥の路地を歩きゆく。地下にもぐって、蝋細工のような豚足と面身をかき分ける。
「君の歌は文字の方が力がある」と福島泰樹さんが辰巳泰子さんに言う。ステージ上での話。居酒屋では「辰巳泰子は(朗読の)弟子にとらない」と言えば「弟子にしないと言われて私、うれしいわあ」と辰巳さんが言いつつ冷酒を一口飲む。「うれしいわあ」と言い、にこりと笑む辰巳さんが私は好きになった。そこにいつも辰巳さんの歌がある気がしていたのだ。
アメ横には、大学生時代、恐山に一人旅して、帰り上野に立ち寄り、米軍放出品の靴と鞄を買った思い出がある。その鞄は、ひと昔前、模造品というかメーカーの大量生産品となって放出品ではなく流行の既製品となって随分と出回った。米軍デザインのきれいな鞄をみな肩から掛けるなかで、わたしのそれは煙硝の臭いがしていた。
福島泰樹さんは足を悪くされて杖をついておられる。「その杖は砂子屋書房から出されたレコード『曇天』のときからですか?」と聞くと「あのころは杖ついてないよ」という返事。そういえば、あれは「曇天」というタイトルに合わせた長めの雨傘だった…….「学生運動の闘士たちは戦争を体験した世代の人たちと一緒に軍歌が歌えていたらよかったんだ、そうしたら違っていたんだ」と泰樹さん。そう考えたことが私にもあった。
火 炎 瓶 紅 蓮 燎 原 今 首 都 は 燃 え て い る か と 亡 霊 た ち は
かえんびんぐれんりょうげんいましゅとはもえているかとぼうれいたちは
只今のながらCD
BELLE EXCENTRIQUE / KAZUHIKO KATO
テキーラさん、これいいね。気に入ってます。ありがとう。
by alglider
| 2008-06-05 22:40
| 短歌