くちなし + 短歌
2008年 06月 18日
23:17
夜に
くちなしはよく似合う。またその芳香を漂わせる季節になった。決してあの消臭剤のような匂いは好きではなく、散っていく姿も汚らしく、好きではない。好きではないが、去年から(といっても短歌を作りだしてから二年もたたないのだから当たり前だけれども)くちなしの歌をいくつか作っている。
好きではないが気になる花であって、そのことはどこか私の本質的な癖(へき)と重なり合うところがあるのだろう。建てられたばかりの家を見ると廃屋を思うし、最新のビルを見れば古代廃墟に思いを馳せ、活発に動くものを見ればその停止を想像してしまい、生きているものを見ればその死を思う。若い時からだから、これはいかしかたない。癖(へき)としか言いようがないし、また別の言い方があったとしても、整理の仕方が変わるだけで、それほど変わるまい。
問題はそれを、どのように言葉に載せていくか、そういうことが今の私の抱えることなのだと思う。本当にいろんなことに頓着がないのだが、頓着がないことにだけは執着してしまっている。それもこれもひっくるめて放り出せれば、また違ってくるんだろうけど。いかんせん、それは形を成さない境地とでもいうべきものであって、まだまだ初老にして若いのである。とほほ。
くちなしのりぼんをむすぶゆうれいのかおりにまよえばいぬのとおごえ
只今のながらCD
LES YEUX FERMES & LIFESPAN / TERRY RILEY
by alglider
| 2008-06-18 20:08
| 短歌